先日「みんなのCRM」第11回のセミナーを開催いたしました。弊社からSNSプランニングチームマネージャーの大元、ゲストスピーカーとして株式会社フジライト(MANUALgraph)代表取締役の鈴木様にご登壇いただきました。
〈ゲストスピーカー〉
株式会社フジライト(MANUALgraph)
代表取締役 鈴木 大悟 様
家業である家具工場を継ぐため、自社ブランドMANUALgraphを立ち上げる。ECを「Shopify」を活用したサイトに切り替えて強化し、ポップアップストアやコラボ商品の発売、その他ブランド体験を重視した施策を次々と打ち出す。SNSの運用にも力を入れ、Twitterやnoteでは、中小企業経営やブランディング、地方創生、インテリアとアウトドア、静岡での暮らしを日々発信している。
▼MANUALgraph様 概要
【モデレーター】株式会社ライフェックス
SNS Planning team SNS Marketing Manager 大元由実子
O2O(オーツーオー)とは?
O2Oは「online to offline」を略したもので、オンライン上の顧客をオフライン(実店舗)誘導し、集客や購入につなげる施策のことをいいます。さらにオフラインからオンラインの、双方向的な効果も持ち合わせるものです。
ここでいうオンラインは、Amazonや楽天などのECのことを指し、オフラインはドラックストアやスーパーなどの実店舗のことを指します。別々の商流だったものがデータ化されていくうちに融合し、相乗効果を生み出すとしてO2Oが再び注目されています。
ここでは今注目されるO2O、3つの基本のキ(メリット)をご紹介します。
「オンライン×オフライン」3つの基本のキ
「オンライン×オフライン」戦略が再び注目されている理由には、以下のような相乗効果やメリットがあるためです。
基本のキ①:実店舗への集客につながる
基本のキの1つ目は、ECサイトから実店舗に誘導することで相乗効果が得られる点です。オンライン(Amazon・楽天など)で見つけた商品に実店舗があれば、実際に足を運んだり、旅行がてら訪れてみたりと実店舗の集客・販売につながります。
基本のキ②:顧客との関係が深くなる
2つ目は、顧客との関係が深くなることです。例えば旅行がてら立ち寄ったお店で買った商品のアフターサービスは、購入後になかなか受けられません。距離が遠い、時間が取れないなど、顧客にとって実店舗に行くには難しい場合も、ECサイトやオンラインの窓口があれば、すぐにコミュニケーションがとれます。
実店舗だけでなくプラスECがあることで、顧客満足度をより高めることができます。
基本のキ③:効果測定がやりやすい
3つ目は、効果測定が測りやすいという点です。オンラインは顧客情報があるため、年代別の購買率やアクセス数などもデータとして管理ができます。そのため、検証が簡単で効果をすぐに測定しやすく、改善点の洗い出しがしやすくなります。
O2Oの具体的な3つの事例
①クーポンの配布
ECで商品を購入した顧客に対して、アプリ上で実店舗で使えるクーポンを配布することは、よくあるO2Oの事例です。ECだけでなく実店舗への集客、売上につながります。
②アプリやSNSの利用
アプリやSNSの利用も、実店舗に誘導できる集客ツールです。しかし目的はそれだけでなく、アプリやSNSを活用して顧客のビッグデータを収集しています。顧客データを集めることで、継続的なコミュニケーション、アフターフォローにデータを活用できます。
③来店の予約機能
来店の予約機能は、コロナ禍において普及したサービスでもあります。オンラインで事前に来店予約をしてもらうことで、すでに顧客情報がある状態で実店舗の接客プランが立てられるのがメリットです。予約がある方がよりスムーズに対応ができ、顧客満足度と接客の効率を上げることにもつながります。
なぜMANUALgraph(マニュアルグラフ)を立ち上げたのか?
ここからは、株式会社フジライト(MANUALgraph)代表取締役の鈴木様にお話しいただきました。現在に至るまでの成功・失敗談、オンラインとオフラインをかけ合わせた戦略の実例などをご紹介しています。
ブランド立ち上げの経緯
2011年の東日大震災をきっかけに、地元静岡県裾野市に帰って家業である家具工場を継ぎました。当時は家業を継ぐことに前向きではなく、何をやっているのかも把握していない状態でしたが、初めてゼロからソファーが出来上がっていく技術を目の当たりにして驚き、強みに感じました。
情報発信する仕組みを変えていけば、地方のソファー工場でも何とかやっていけるのではないか。そう思ったのがブランドを立ち上げた経緯です。
当社のソファーは市場の中で、中〜上の価格帯でポジショニングしています。この価格は戦略的は狙いというよりも、国内生産・受注生産である以上、この価格でしかできないためです。ソファー専門のメーカーや、価格帯は違えど大手のニトリやIKEAも当然、競合になってきます。
海外で大量生産する製品とは、価格帯で太刀打ちができません。「品質のよいソファーをなるべく手の届きやすい価格でお届けしたい」というのが、ブランドコンセプトの1つです。そのためコストがかかりづらい、卸を通さず自ら販売する(D2C)の選択が最善でした。
オンライン×オフライン戦略の成功・失敗事例
当初はあくまで実店舗での運営がメインでしたが、地元にショッピングセンターができたことで声がかかり、少し無理をして2019年の年末に出店しました。ところが、年明けにコロナの影響を受けて売上げが激減。工場にある本店も、4〜6割が県外からのお客様だったことで、客足がパタッと止まってしまいました。無理をして投資をしたショッピングセンターのお店は、閉店に追い込まれることになったのです。
「Shopify」を活⽤したサイトに切り替えて強化
このままでは事業継続が危ういなか、外部に委託していたEC及び自社サイトを「Shopify」に切り替えて、自社運営に変更しました。これまでの自社サイトは、新商品を載せたり、価格を変更したりとった作業を、その都度外部に委託していたことでコストがかかっていたからです。
しかし使いやすいShopifyに切り替えたことで、自社で運営ができるようになり、コスト削減とEC強化につながりました。
SNSやオウンドメディアでの発信を強化
ShopifyでECサイトを作った後、集客のためにSNSとオウンドメディアでの発信を強化しました。SNSは専門の担当者を配置したうえで、自分自身もTwitterやnoteで発信をしています。
SNSを通じた情報発信では、まだ顧客とのコミュニケーションは少ない現状です。しかし認知が広がり、お客様を含めたEC関係でコミュニケーションが生まれたことで、オンラインの施策に関する知見を付けることができました。コミュニティが生まれたことでリアルにお会いする方も増え、それが企画やコラボといった仕事につながったことが最大のメリットです。
ポップアップストアやコラボ商品の発売
高単価なソファーは、オンラインだけではなかなか売れにくい商品です。そのため施策として、実際に座っていただく、実物を見ていただくといったリアルな体験を落とし込むために、キャンプ試座&試着会などのイベントをテスト的に開催しています。
カスタマージャーニーでは、「いかにオンライン・オフライン含めてお客様とコミュニケーションするか」といったところを組み立てています。特に、認知から購入までの間は重要です。店舗やポップアップであったり、ちょっとしたリアルな体験として実物のサンプルやカタログを郵送したりして、オフライン・オンラインの両方を活用しながら試行錯誤しています。
またコラボ商品として、長野に拠点を置く「パンや日用品の店 わざわざ」とともに残反(ざんたん)という端切れで作ったソファーを開発しました。ソファーを作る時に出てしまう残反は大変もったいなく、当社でも課題に感じていました。この端切れを何とか採用したいと生まれたのが「TSUGU」というソファーです。その時に残ってる端切れを1枚1枚選んで作成するので、実は贅沢な一点ものです。
残反が残ってしまうのは、社会問題、工場の課題でもあり、そんな課題を解決できるものづくりが実現できたと思っています。
ポップアップストアの失敗談と学び
初めてポップアップストアを開催したのは、東京の代官山でした。しかしこれが大赤字の大失敗。認知は広がったものの、そこから購入につながることはほとんどありませんでした。ソファーという商材は、価格帯的にもいろいろ調べて検討する期間が長く、通りがかりで購入する人はほぼいないということに気付いたのです。
認知から購入のカスタマージャーニーの中の後半部分で、リアルな体験として座っていただく。このようにタイミングよくお届けしないと、購入につながらないと学びました。
今では検討顧客のなかでも「真剣に購入を考えている特定の顧客」に向けて、ポップアップを開催するやり方に切り替えています。
地域に根ざしたブランドとして大切にしていること
実は以前は地元に戻ること、家業を継ぐことに積極的ではありませんでした。しかし東京から戻ってきたときに、今まで気付いていなかった地元静岡の魅力を再発見したのです。
ソファーはECで購入もできますが、リアルな体験をお届けするには、店舗がある静岡に来ていただいといけないことが1つのボトルネックです。ソファーを購入する顧客はファミリー層が多くを占めます。「ソファーを買いに行く」という体験を家族の思い出としてセットにすれば、店舗に訪れるきっかけになるのではないかと考えました。これが地域の観光も含めて発信をしている狙いの1つです。
ブランドに関する情報発信だけでは、ひとりよがりの誰の役にも立たないコンテンツになってしまいます。現在は静岡に観光に行きたい方のお役に立てたり、静岡裾野市に訪れるきっかけになるような、地域に根ざしたブランドとして情報発信を心がけています。
以上、株式会社フジライト(MANUALgraph)様をゲストにお呼びしたセミナーのレポートでした!鈴木様、貴重なお話をありがとうございました!
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