前回の記事で、D2Cと従来の販売モデルの違いや特徴についてお話しました。個人やスタートアップ企業でも参入しやすいことから、自社でD2C事業の立ち上げを検討している企業もいるでしょう。
D2Cブランド立ち上げを成功させるためには、段階的にステップを踏んでいく必要があります。まずやるべき最初のステップとしては「市場・顧客のリサーチ」、次に「商品企画」です。
今回は7つのステップのうちの、ステップ1・2について解説します。
【STEP1】市場・顧客のリサーチ
まず最初にやるべきことは、市場・顧客のリサーチです。化粧品を例に挙げると「今出ている原料が何か」をリサーチしたりします。
その時々によって、原料メーカーが推しているトレンドがあります。例えば過去の例で言うと「ヒト幹細胞」「オメガ3」が流行り出した時は、原料メーカーが展示会などで推していることもありました。1年後のローンチ(商品発売)を考えている企業さまについては、トレンドである原料を打ち出すのはどうか、と提案することも多々あります。
ローンチしたい希望はあっても、成分までは固まっていない企業さまも多くあります。そういう場合は、次の2点を原料メーカーの市場感を見ながら決めていきます。
・どういう成分を入れて商品を尖らせていくか
・USP(商品の強み)にしていくか
そして、今市場で何が流行っているのか、何が流行りそうなのかをウォッチすることも大事ですが、次の2点も同時にリサーチすることが重要です。
・ベンチマーク(指標や分析)しているブランド
・売れているブランドの主成分の売れ行き
ローンチする時期の設定
市場・顧客リサーチと共に重要になってくるのが、ローンチの時期です。
化粧品を例に取ると、商品を原料メーカーに発注していれば半年くらいでローンチできます。半年とした理由は、発注してから容器が来るまで4ヶ月程度の時間を要するからです。
さらに製造する際には、必ずテストが必要です。商品企画から0ベースで始めるのであれば、1年は最低でも見ておくべきでしょう。
原価率にこだわった設定
失敗するケースでよく見られるのは、「原価にこだわらない」ことです。
目安の商品価格は、ベンチマークのブランドの販売価格をリサーチして決定されます。しかし原価にこだわらないとなると、広告費用をかけられないなど、のちに資金を圧迫していくことになります。
そのため、原価率の設定は重要です。ベンチマークとなるブランドの販売価格をリサーチしたら、なるべく原価率を抑えて販売価格を設定しましょう。販売価格に対して、原価率が12%程度にはなってしまうことがほとんどですが、販売価格の10%程度に抑えるのが理想です。
【STEP2】商品企画
次に商品を企画していきます。
今の時代、商品が良いのは当たり前です。お客様の期待値や知識も以前より高まっています。商品へのこだわりはもちろんですが、最初の企画段階では商品に「どんな想いやメッセージをのせていくのか」が重要になってきます。ここは次のステップ3「ブランド・アイデンティティ」の部分でじっくり考えていくことになります。
商品数(ラインナップ)の選定
商品数(ラインナップ)は、資金の問題に大きく関わります。スキンケアはラインで出した方が良いとも言われますが、一概に正解とは言えません。
例えば、化粧品の例を挙げると以下のような選択ができます。
商品企画の段階で、それぞれのメリット・デメリットを考慮して選択しましょう。これらは、企業の資金やスタンスによるところが多いといえます。
まとめ
今回の記事では、ステップ1「市場・顧客のリサーチ」とステップ2「商品企画」について解説しました。
次回は、ステップ3の「ブランド・アイデンティティの構築とOEM選定」についてお話いたします。