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LTV(ライフタイムバリュー・顧客生涯価値)の上げ方とは?計算方法とその意味について徹底解説

市場が成熟して競争が激化する中、新規顧客を獲得するコストが高騰する一方で、企業は既存顧客との関係をより強化する方向にシフトしています。この流れの中で、マーケティングの重要な指標として顧客生涯価値(LTV)が注目されています。

LTV、すなわちライフタイムバリューは、顧客が企業にもたらす長期的な価値を示す指標であり、近年その重要性が高まっています。多くの企業がLTVの向上に注力する理由は、経済環境の変化や市場競争の厳しさに対応し、顧客との継続的な関係を育むことの重要性が増しているからです。

この記事では、LTVについての基本から実際にLTVを高めるための具体的な施策についてわかりやすく解説します。

LTV(顧客生涯価値)とは

LTVは「Life Time Value」の略で、日本語で「顧客生涯価値」と訳されます。つまり「この顧客はこれから先、どれくらいの価値をもたらしてくれるか」という数値です。この考え方は、長期にわたる顧客との関係から得られる価値を重視するマーケティング戦略において非常に大切です。

たとえば、ある顧客が一度の購入で1万円の利益をもたらすとします。しかし、その顧客が何年にもわたって繰り返し購入してくれる場合、その顧客のLTVは初回の1万円以上になります。このようにLTVを計算することで、どの顧客がより価値のある長期的な関係を築いているかを見極め、そうした顧客に焦点を当てる戦略を立てることができます。

LTVがマーケティングに重要な理由

CRMのマーケティングを行うえでLTVが重要視され始めた理由としては以下の3点が挙げられます。

【LTVがマーケティングに重要な理由】

  • 新規顧客の獲得の難化
  • One to Oneマーケティングが主流に
  • 新しいビジネスモデルの台頭

新規顧客の獲得の難化

EC業界が成熟するにつれ、新規顧客を獲得するコストが上昇しています。そのため、既存顧客からの売上を最大化するためにLTVを重視する傾向にあります。

そのため、新規顧客獲得よりも既存の顧客の満足度を向上させることで、既存顧客をロイヤルカスタマーへと育成することを目指す企業が増えてきています。そのための指標としてLTVが活用されています。

One to Oneマーケティングが主流に

消費者がアクセスできる情報量は大きく増加し、その結果、消費者の好みも多様化しています。この変化に対応するため、多くの企業が顧客データを集め分析する手段やツールを導入し、個々の消費者の好みに合わせた商品やサービスの提案が必要になっています。以前のマーケティングアプローチでは、一般的に大規模なターゲットに対して行われていましたが、最近では「One to Oneマーケティング」と呼ばれる、個々の顧客のニーズに合わせてカスタマイズされたマーケティング戦略が主流になりつつあります。

このOne to Oneマーケティングの文脈で、顧客のロイヤリティ向上と長期的なビジネス関係の促進が重要視されています。このアプローチにより、LTV(顧客生涯価値)の最大化が企業の成功指標として注目されています。

新しいビジネスモデルの台頭

近年では、動画や音楽を定額で気軽に楽しめることから多くのユーザーがサブスクリプションを利用しています。その勢いは動画や音楽などに留まらず、家具や車などのサブスクリプションなど、市場は広がる一方です。

企業にとってサブスクリプションやリカーリングを導入するメリットは何といっても継続的に安定した収入を得ることができやすいことでしょう。顧客がサブスクリプションを継続してくれるほどLTV(顧客生涯価値)は向上して企業の成長にも繋がり、さらによいサービスの提供ができるという好循環が生まれるようになります。

LTVを計算する方法

 

LTVの計算には様々な方法がありますが、ここでは比較的簡単で多くの企業に用いられる計算方法をご紹介します。

【LTVの計算方法1】

LTV=(平均顧客単価×収益率×購買頻度×継続期間)

この計算方法は、顧客一人あたりのLTVを把握するために適しています。例として平均顧客単価3,000円、収益率60%、購買頻度2回/月(24回/年)、継続期間3年とした場合の算出方法は以下のとおりです。

(3,000円×0.6×24×3)=LTV 129,600円

【LTVの計算方法2】

LTV=顧客の平均購入単価×平均購入回数

この計算方法は、売上金額をベースにしたLTVを算出しているときに適しています。具体的な数字を入れると、顧客の平均購入単価1万円、平均購入回数3回の場合の算出方法は以下のとおりです。

1万円×3万円=LTV3万円と算出されます。

LTVを最大化するための施策

LTVを最大化させることは安定した収益の確保に繋がるため企業にとっては特に力を注ぐ必要がある部分です。そんなLTVを最大化させるための施策として大切なことは以下の4つとなります。

【LTVを最大化させるための施策】

  • 1回の購入単価を上げる
  • 購入の頻度を上げる
  • コストを下げる
  • 顧客のロイヤリティを向上させる

1回の購入単価を上げる

LTVを最大化するために最も簡易的に実施できる方法が、1回の購入単価を上げることです。具体的には商材・サービスの値上げをする、アップセル・クロスセルです。

例えば喫茶店の場合、これまで500円で提供していたコーヒーを600円に値上げすることでLTVの向上が期待できます。ただし、当然ながら商品単価を上げると顧客の来店頻度が減るリスクや、客離れに繋がるリスクを背負うことになります。

そのため、購入単価を上げるためには様々なアイディアが必要です。たとえば、従来であれば1杯500円と1個500円のケーキを、セット割りとして800円で提供すると購入者が増え、結果的にLTVの向上にも繋がります。

購入の頻度を上げる

顧客の購入頻度が多くなるほどLTVは向上していきます。たとえば、リマインドメールを配信して買い替えの時期をお知らせしたり、新しい商品を展開して既存商品からの買い替えを促したりすることで、購入頻度が上がる可能性が高まります。自社の製品やサービスと結び付くイベントを企画することも、購買頻度を高めるひとつの手段です。

コストを下げる

顧客の獲得や維持には何かとコストがかかります。これらをすべて人の手で行うと人件費がかかるうえに、作業効率も悪くなりコストがかさんでしまうことが問題点です。

そのため、近年ではSFAと呼ばれる営業支援システムや、CRMと呼ばれる顧客管理に注目が集まっており、ITツールの力によりコストを抑えた正確な顧客獲得や維持が可能となっています。

しかし、過剰なコストカットは社員のモチベーション低下に繋がるため、結果として顧客満足度も下がりLTVを下げてしまうリスクも伴うため注意が必要です。

顧客のロイヤリティを向上させる

顧客から企業やサービスに信頼や愛着を感じてもらうことを「顧客ロイヤリティ」といいます。顧客ロイヤリティが高まれば、中途解約を防ぐことや、リピーター化してもらうことが可能です。また、よりグレードの高い商品を購入してもらうことができれば購入単価の向上も期待できます。

顧客ロイヤリティを向上させるには心理的要素が大きく関与します。企業やサービスに対する愛着や信頼を感じることで顧客ロイヤリティは向上する一方で、不満や疑念を持つと著しく低下します。

たとえば契約している配信サービスが新しい動画をアップしない、頻繁に配信エラーなどの不具合を起こしていれば顧客ロイヤリティは低下し最悪の場合解約に繋がってしまいます。

つまり、顧客を飽きさせないサービスの提供はもちろん、常に滞りなくサービスの提供ができるよう努めることも顧客の信頼感に繋がるため顧客ロイヤリティの向上が期待できるということです。

まとめ

本記事では、「LTV(Life Time Value)」についてわかりやすくご紹介しました。新規顧客の獲得が難しい近年では、LTV(顧客生涯価値)を向上させることが企業の成長に大きな影響をもたらすことになります。

顧客から愛され、信頼される企業やサービスを提供するには、様々な工夫や努力が必要になることはどこの企業でも同じです。また、どれだけよいサービスを提供しても最後の部分は人と人です。真心を込めたサービスを提供することが、結果的にLTVの最大化に必要不可欠でしょう。