HOME
COLUMN

CRM

ロイヤルカスタマーの特徴とは?|ロイヤルカスタマーを効率的に育成する方法を紹介!

自社商品やサービスに高い信頼を寄せる消費者であるロイヤルカスタマーは、ビジネス戦略の中で大きな存在感を持っています。売り上げを長期的に伸ばすためには、商品・サービスに愛着を持って利用してくれるロイヤルカスタマーを多く獲得する施策が肝要なのです。企業事例などを通して、ロイヤルカスタマーの育成方法などをご紹介します。

ロイヤルカスタマーとは?

ロイヤルカスタマーとは、商品・サービスに信頼を寄せて長期的に利用し、売り上げに貢献してくれる最上位顧客のことを意味します。売り上げへの貢献という点では優良顧客やリピーターと共通する部分もありますが、優良顧客やリピーターは価格帯やセールを要因に購入するケースも含むため、競合商品やサービスに乗り換える可能性も低くありません。これに対してロイヤルカスタマーはサービスやブランドへの愛着や信頼を購入動機とするため、競合への流出リスクも低いのです。以下のような顧客は、ロイヤルカスタマーと言えます。

【ロイヤルカスタマーの特徴】

  • 顧客生涯価値(LTV)が高い
  • 自ら情報を発信・拡散してくれる
  • 新規顧客獲得に貢献してくれる

顧客生涯価値(LTV)が高い

LTVは「Life Time Value」の略で、顧客が生涯を通して商品やサービスを購入することで企業にもたらす総利益という意味です。LTVは以下の計算式で算出されます。

「購買単価×購買頻度×継続利用期間」

ロイヤルカスタマーは長期に渡って繰り返し商品やサービスを愛用し続けるため、自然とLTVは高くなります。マーケティングの領域では、新規顧客を獲得するためには既存顧客の維持を図る5倍のコストがかかるという「1:5の法則」が指摘されています。そのためLTVの高い顧客を多く抱えると、多額な宣伝費や販促費などのコストを抑えながら安定した収益を得やすくなります。

▼【関連記事】LTV(顧客生涯価値)がマーケティングに重要な理由|計算方法と最大化する方法を紹介!
 

自ら情報を発信・拡散してくれる

商品やサービスに高い愛着や信頼を寄せるロイヤルカスタマーは、ネットなどで高評価の口コミを載せたりSNSで肯定的に発信したりしてくれます。SNSを通して多数の情報が行き交う昨今では、個人が愛用しているものや魅力的な体験ができるサービスなどを積極的にシェアする傾向にあり、ロイヤルカスタマーであれば拡散頻度がより高くなると予想されます。

新規顧客獲得に貢献してくれる

ロイヤルカスタマーによる情報発信・拡散、家族や友人、知人などへの口コミ効果により新規顧客の獲得につながることも期待できます。そのブランドの商品やサービスを長年愛用して熟知している消費者の意見は信頼性も高く、抜群の宣伝効果が見込まれるためです。

ロイヤルカスタマーを獲得する方法

ロイヤルカスタマーを獲得する前提条件として、顧客状況や顧客心理を把握しておくことが挙げられます。以下の作業が重要になります。

【ロイヤルカスタマーを獲得する方法】

  1. 対象となる顧客のペルソナを明確にする
  2. 顧客が本当に求めている価値は何か考える
  3. 現時点での顧客のロイヤルティを把握する
  4. 顧客体験を見直す

対象となる顧客のペルソナを明確にする

ロイヤルカスタマーとなり得る顧客のペルソナを明確にすることで、リピート購入などにつなげるビジネス戦略を打ち立てやすくなります。ペルソナの好みやニーズに合わせた商品やサービスの販促方法などを展開して、ペルソナに近い顧客の心をつかむことがロイヤルカスタマーの育成につながるのです。

まずは自社商品やサービスの特徴から愛着を持って長期間利用してくれそうな顧客の年齢や職業、家族構成、生活習慣・環境、趣味などを細かく絞り込んでペルソナを設定することが重要です。

顧客が本当に求めている価値は何か考える

商品やサービスの中から顧客が本当に求めているものを見出し、顧客視点に立った価値観を持つことも重要なポイントです。企業側が開発したいものを一方的に提供するのでなく、消費者目線に立って商品やプロモーション、販売を検討することで顧客の本来のニーズが見えてきます。商品・サービスのビジュアルや機能、価格、販促方法など、消費者がどの要素に対してどのような価値を求めているのか、顧客からのフィードバックなどを掘り下げていきましょう。

現時点での顧客ロイヤルティを把握する

ロイヤルカスタマーの育成には、実際に現状で自社の商品やサービスに対して顧客がどれぐらいの信頼や愛着を抱いているかーといったことを意味する「顧客ロイヤルティ」を把握するのも有効な作業になります。顧客が求める価値と現状の自社商品・サービスの差を認識した上で、改善度合いの把握や改善点の発掘などがしやすくなるためです。

具体的には、アンケートをもとに「商品やサービスをどれだけ人にすすめたいか」といった度合いを調べる「NPS®」を実施する方法があります。人にすすめたくなる気持ちで強い数値を示すほど、自社商品やサービスに対する顧客からの支持が高いと想定されます。

顧客体験を見直す

消費者が商品やサービスに興味を持ち、購入しアフターサービスを受ける一連のステップで得られる「顧客体験」を見直すことで、ロイヤルカスタマー獲得の可能性が広がります。購入までの各段階で顧客が感じたマインドや課題、商品に対するニーズを拾い集めてブラッシュアップを図ることで、顧客により愛される商品やサービスの提供につながるのです。

具体的には顧客アンケートやインタビューなどを通して商品購入やアフターサービスまでの各段階で実際に顧客が感じたことなどの情報や意見を集め、顧客の行動や心理を表す「カスタマージャーニーマップ」ツールなどを使ってまとめていきます。

吸い上げられた意見や情報をもとに、より消費者を引きつけられるような商品やサービスの充実化・改善に向け企画・販促活動などを進めます。

ロイヤルカスタマーを効率的に育成するコツ

自社の顧客がロイヤルカスタマーになるためには、企業側による対象者へのコミュニケーションなどの面でポイントがあり、それぞれを強化していくことが重要です。

【ロイヤルカスタマーを効率的に育成するコツ】

  • 顧客との接触の機会を増やす
  • 他の顧客との差別化を行う
  • CRMを活用してLTVを向上させる

顧客との接触の機会を増やす

顧客に自社のファンになってもらうためには、接触の機会を増やす必要があります。以下が効果的な手段になります。

【顧客との接触機会の具体例】

  • メルマガ配信:定期的に店舗や商品・サービス情報を配信して自社やブランドの存在をアピール。
  • SNSキャンペーン:割引効果による売り上げアップのほか、情報の拡散を通じてより多くの消費者へのPR効果も見込まれます。
  • ライブ配信:ライブでしか得られない情報などを発信し、プレミアム感を提供。
  • サンプリング体験:顧客が新商品のサンプルや新サービスに触れるきっかけを作ります。顧客から商品・サービスに対する意見を集めることもできます。

この他にもキャンペーンイベントやファンミーティング、商品購入後のフォローメッセージなど顧客との関係を深める手段や媒体は多くあります。顧客の属性に適したやり方で進めていくことが重要です。

他の顧客との差別化を行う

ロイヤルカスタマー候補の顧客に対して参加者限定の招待イベントやサイト、キャンペーンを企画するなど、特別な対応を行うことで企業やブランドに対する愛着を抱いてもらいやすくなります。購入額や購入頻度ごとにランク分けし、最上位ランクの消費者には限定品のサンプリングや新商品・新サービス開発につながる意見をヒアリングするなど、特別感を提供する企画も効果的です。

CRMを活用してLTVを向上させる

CRMは顧客情報の管理とともに顧客との関係構築を進めるマネジメントを指し、「顧客関係管理」と訳されます。購買データによる顧客分析を通して各々の属性に適合したアプローチを用いて商品利用のリピートなどを促し、ロイヤルカスタマー育成につなげる手法です。

具体的には、メルマガ配信や広告用同梱物など顧客の属性や嗜好に適合したツールやタイミングで、関心の高いトピックに関連する情報や商品・サービスをアピールします。息の長いファンになっていくように働きかけましょう。

▼(参考記事)CRMとは?どんなメリットがある?|CRMを活用したマーケティング事例を紹介! 

企業によるロイヤルカスタマー育成の成功事例

ロイヤルカスタマー育成の取り組みを積極的に進めることで知られる企業の事例をご紹介します。

スターバックスコーヒージャパン

スターバックスコーヒージャパンは公式アプリなどを通した会員制度「スターバックス®リワード」を導入。会員はドリンクと交換できるサプライズチケットや新商品の先行購入権獲得などの特典を獲得できます。

購入額の高いゴールドスター会員には、限定プレゼントも贈呈。魅力的な特典によって会員登録やスターバックスコーヒーへの来店を促すだけでなく、店舗やメニューへの愛着を生み出す仕組みとして注目されています。

チューリッヒ保険会社

損害保険のチューリッヒ保険会社は保険料の見積もりや契約、契約更新、保険料支払いなどの段階でNPS®調査を実施。顧客からの意見を業務改善にフィードバックしています。顧客向け書類作成や新サービスに対する消費者の意見を聞くフォーラム、社員に対する顧客体験研修も開催。消費者目線を取り入れてサービスや業務を推進する姿勢により、顧客から厚い信頼を得る事例として評価されています。

まとめ

ロイヤルカスタマーの育成は収益を安定させビジネスを円滑に進めるために緊要ですが、顧客との関係や現在の商品・サービスの価値を見直して改善し、消費者の価値観を取り入れるきっかけにもなります。顧客と厚い信頼や絆で結ばれたWin-Winの関係を築くため営業、マーケティング、人材育成などセクションを越えた協議や取り組みが求められます。