「新規顧客の獲得が難しくなってきた」「既存顧客の顧客満足度を高めて、サービスの継続/購買アップにつなげたい」そんな企業に最適なツールが「CRM」です。
今回は、業種を問わず全ての企業が知っておくべきCRMについて、基本機能、他のツールとの違い、活用のメリットを解説。さらに、マーケティング事例についてもご紹介します。
CRMとは
CRM(Customer relationship management)は、「顧客関係のマネジメント」を意味するマーケティング用語です。
現在、CRMは「顧客関係管理のためのITツール全般」を指すことが一般的です。しかし本来は「顧客関係づくりを含む、リピート施策全般」を意味しており、徐々に、企業戦略における「顧客満足の向上」を指すようになってきました。
そんなCRMマーケティングは、市場や消費者の動きに合わせて、重要視されるようになっています。
少子高齢化の影響により新規顧客獲得が難化していく中では、既存顧客との関係性向上による「リピーターの獲得」が不可欠です。
また、消費者ニーズの多様化により「詳細な分析を通じた各顧客にあった施策」の必要度が増したことも、CRMマーケティングが重要視される背景です。
CRMの基本機能
CRMツールには、以下4つの基本機能が備わっています。
【CRMの基本機能】
● 顧客情報の管理 |
上記4つの要素は、CRMマーケティングの際の必須項目です。 その一括管理が可能なCRMツールは、すでに多くの企業で導入されています。
CRMツールを利用することで、顧客情報などが簡単に共有できるほか、大量の顧客に対して細やかなコミュニケーションが可能となります。
顧客管理
顧客管理では、以下のような、顧客に関わる様々な情報を管理します。
- 氏名
- 年齢
- 生年月日
- 性別
- 住所
- 電話番号
- 所属企業
- 担当者名
- 購入した商品
- 購入日
- 問い合わせ履歴
- クレーム対応履歴 など
CRMツールでは、システム上でこれらの情報を管理するだけでなく、情報に基づいた顧客のグループ化(分類)も可能です。
顧客分析
顧客情報の分析は、マーケティング活動の効率化、売上の向上に役立ちます。
顧客グループごとの購買傾向を見つけ出すことで、効果的な施策が可能になるのです。
CRMツールの利用によって、大量の顧客情報をスピーディーかつ高精度に分析することが期待できます。
営業進捗管理
営業活動管理のポイントは、進捗状況を「見える化」することです。
個々のスケジュールや過去の営業履歴が整理されていると効率的な営業計画が立てやすくなりますし、それらの情報を共有できるため、ミーティング・訪問時期を決める際にも役立ちます。
さらに、営業担当者が変更になった際も、営業先情報や営業の進捗が一目でわかるため、引き継ぎもスムーズです。
プロモーション管理
CRMツールを使うと、以下のような様々なプロモーション施策を、特定の条件で抽出した顧客グループに対して行うことができます。
- メールマガジンの配信
- DM(ダイレクトメール)の配信
- アンケートの配信
- クーポンの配布 など
施策の実行だけでなく、メールマガジンの開封率・アンケートの回答率などの可視化も可能です。
さらにイベント管理・ポイントカード管理などの機能を兼ね備えたCRMツールも存在します。
SFAやMAとの違い
マーケティングに役立つツールは、CRMの他に「MA」「SFA」などがあります。マーケティング支援という目的は同じですが、それぞれ特徴が異なるため、導入目的に合わせて選びましょう。以下は各ツールの導入目的です。
CRMの導入目的は、すでにご紹介した通り、既存顧客の分析・施策の実施を通じた「リピーターの獲得」です。また、獲得したリピーターに有効な施策を講じ、購買率を高めることで「生涯顧客価値のアップ」にもつながります。
MA(Marketing Automation)は、マーケティングの自動化ツールです。その導入目的は「見込み客の獲得」で、必要なコミュニケーションの自動化を通じて「商談数のアップ」につながります。
SFA(Sales Force Automation) は、営業支援ツールです。その導入目的は「営業スキルの向上」で、見込み顧客の情報と営業活動の状況をデータとして可視化・共有することで「受注率アップ」につながります。
CRMを活用してマーケティングを行うメリット
CRMを活用したマーケティングには、以下のようなメリットがあります。
【CRMを活用してマーケティングを行うメリット】
- 業務を効率化できる
- 顧客のロイヤルティを向上できる
エクセルシートなどを利用しても顧客管理やマーケティングは可能ですが、上記2点を目的として明確に意識していない場合は、CRMマーケティングとは言えません。
業務を効率化できる
CRMの活用は、マーケティング業務の効率化につながります。
CRMツールを導入すると、社内情報が一元化できるため、担当者・部門を超えて必要な情報を得られるようになります。そのため「顧客情報や名刺を探す」「口頭で情報を伝える」「担当者の引き継ぎをする」などの手間と時間を削減できます。
先程ご紹介した、MA、SFAを導入・連携することで、さらなる業務効率化が期待できるでしょう。
CRMを通じて営業部門や関連部門の連携を強化できると、業務効率化が期待できます。社内の情報を一元化すれば、部門を越えて誰もが必要な情報を即座に入手しやすくなります。
顧客のロイヤルティを向上できる
CRMの活用は、顧客のロイヤルティ(企業、ブランド、商品、サービスに対する愛着・信頼)の向上にもつながります。
マーケティング業務の効率化を通じて、より細やかで行き届いたアプローチが可能となるため、顧客満足度の向上が期待できるのです。
顧客ロイヤルティの向上は、長期的にはLTV(Life Time Value=顧客生涯価値)をアップさせることにもなります。リピーター・ロイヤルカスタマーとなってもらうことができれば、より安定した利益を企業にもたらしてくれるでしょう。
▼【参考記事】LTV(顧客生涯価値)がマーケティングに重要な理由|計算方法と最大化する方法を紹介!
CRMを活用したマーケティング事例
CRMは、以下のように様々なサービスや技術と連携して、マーケティング展開することも可能です。
【CRMを活用したマーケティング事例】
- ソーシャルメディアとの連係
- チャットボットと組み合わせる
- 音声解析技術との連携
それぞれの活用方法を見ていきましょう。
ソーシャルメディアとの連係
CRMとソーシャルメディアを連係することで、情報発信/顧客コミュニケーションの拡充ができます。
現在、国内外を問わずTwitter、Facebook、LINE、Instagramなどのソーシャルメディア(SNS)が普及しています。これらのチャネルを通じて、商品・サービス・企業風土など、多様な情報を発信することが可能です。
さらにソーシャルメディアの双方向性を活かしてユーザー参加型イベントやアンケートを実施することで、認知度アップやイメージ向上などの効果が期待できます。
チャットボットと組み合わせる
CRMとチャットボットを連係することで、チャットボットのメリットをさらに引き出すことができます。
チャットボットのメリットは、業務時間外の問い合わせへの自動対応、気軽に問い合わせる環境の整備といった「顧客対応の充実化」です。そこにCRMを組み合わせることで、顧客ニーズに沿った回答が可能となり、顧客対応の品質がさらに改善・向上します。
これにより、問い合わせ件数の増加や、サービス解約防止といった効果が期待できます。
音声解析技術との連係
CRMと音声解析技術を連係することで、音声会話情報を可視化できます。
具体的には、オンラインや電話など音声による日本語の会話情報を、テキスト(文字情報)に変換し、データ化して保存することが可能となるのです。
テキスト化により、音声データのままでは難しかった顧客情報の分析も容易となります。
また、活用できるデータが増えることで、より詳細で多角的な顧客分析が期待できます。
さらに、報告書や日報も自動化できるため、業務効率化にもつながります。
まとめ
少子高齢化による市場縮小や、顧客の購買行動の変化が見られる現在。今後の企業の発展のためにも、CRMの考え方は欠かせません。
CRMの考え方に基づいた顧客管理システム(CRMツール)には様々な種類があり、使い勝手や搭載機能も多彩です。
ソーシャルメディア・チャットボット・音声解析技術と連携できる製品もあるため、自社の課題を明確にした上で、その解決に寄与するサービスを選びましょう。
CRMツールを上手に活用して、既存顧客との関係性を向上させ、販売機会の増加・売上の創出を実現してください。